ティファナ到着後に行った夕飯の話。
メキシコ側にいるレップと、日本から来たゲストと3人での食事。
「メキシコの伝統的な料理ってものを食べてみたいな。」
そう言ったことでこの事件は起きたのだ。
そう、私は決して悪くない。
ただ伝統的な = Traditionalなと訳して伝えたことは間違いだったのかもしれない。
むしろ代表的なという表現を使っていれば、タコスとかブリトーとかそんなもので済んだかもしれないのに。
ビールで乾杯は良かった。
今回利用したレストランはLa Diferenciaというレストランで、それはそれはメキシコの伝統料理を出してくれるレストランとして有名だとのこと。
エンチラダやステーキなどのメニューがある中で、メキシコ人のレップはそこで動いた。
The Traditionalsという項目にあるとあるメニューを注文したのだ。 厳密にいうと、↑の2つ目に書いてあるSopes de Chapulinesという食べものである。
まさかのバッタ(グラスホッパー)であった。
なるほど。
言われてみれば昔はイナゴなんかを食べたとも聞いた(現に私も食べたことはある)。 甘い佃煮みたいな味にすることで食べやすく、見た目ほどに抵抗がなかったことは記憶にある。
昆虫食はこれから食糧難が起きた場合、お肉に代わって質の高い栄養素を補給できるものとして最近注目を浴びているとかなんとか。
これをトルティヤの皮にワカモレを乗せ、その上にグラスホッパーを乗せるのだ。
なんという地獄絵図。 足が胴体から離れているではないか。
これを食べるというのか・・・
ここで日本から来たゲストが放った一言がこれだ。
「俺は虫なんて絶対に食べないぞ! なんだってこんなものを注文したんだ!!」
口調こそそう言ってはいたが、別に怒っているわけではなく、絶対に食べないという意思表示をされたに過ぎない。
ただここで思い返さなくてはいけないのは、そのゲストがメキシコの伝統料理を食べたいと言ったことが全ての始まりなのである。 むしろ現地のレップも頼むつもりはなかったのかもしれない。 伝統料理が食べたいという言葉を素直に受け止め、この料理を注文したのではないだろうか。
となるとなんだ。
メキシコではこういった料理が昔からよく食べられていて、見た目が悪いからってだけで食べないのはメキシコに対する冒涜にあたるのではないかと私は考えた。 伝統料理が食べたいっていうからわざわざ連れてきてあげたのに、バッタを見たら怖気づいて全く手も出さず、これで伝統料理が食べたいなんてよく言えたもんだ。 そんな噂が流れることもあるかもしれない。
よし、ここで大和魂を見せずしてどこで見せるというのか。
日本からのゲストが食べてくれないなら私が食べるしかないじゃないか。
むにゅぅ
あぁっぁあああああ。
カリじゃないムニュッとした食感。
これは虫なのか、或いはワカモレの「むにゅ」なのか。
味は塩辛いだけで何もない。 でもこの食感はいただけない。 何もなかったことにしてドリンクで流し込むしかない。
ここで頼んだマルガリータが登場。 タマリンドをグラスの縁に塗り、これまた微妙な味付けである。 しかも。
フローズンマルガリータってことは氷を使っているのである。 メキシコでは水はあまり飲まないに越したことはないのだ(グアダラハラに行ったときに謎の腹痛に襲われた記憶もある)。
まさに踏んだり蹴ったりとはこのことである。
まぁ取り敢えず儀式は終わり、これも伝統料理だからと頼んでくれたのがこのチキン。
見た目も美味しくなさそうだが、食べてもその評価は変わらなかった。
ソースが妙に苦い。 苦いんだけど甘い。 表現がうまく出来ないのは私の食レポ技術が低いからなのに変わりはないのだが、どうやったらこんな味付けが出来るのだろうか?と不思議になる味である。
だがしかし、この料理は30種以上の食材を使い、丁寧に調理することで生まれるソースだということだ。 だが日本人の口にはとてもじゃないけど合わないだろう。
虫と言い、鶏料理と言い、とにかく初日の夜から洗礼を受けたことに間違いはない。
現地のレップが所属している社長さんとこの後に話す機会があったが、丁重におもてなしをするようにと伝えていたはずなのに何でバッタなんか食べることになったのかは全くもって意味不明、しかもその場にいたらその人も絶対に食べないので気を遣う必要は全くなしと笑っていた。
余計なものを食べたことに変わりはないが、伝統料理とはあのような料理を指すのだなと勉強になった1日でもあった。
これからは伝統的なという言葉の扱いには気を付けようと思ったことは間違いないのである。
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